NAIKA MC
「んー、UMB決勝のあの舞台でTKに"あんたは電話でも自分の話しかしない!たまには俺の話も聞いてくれ!"って言われたのはちょっと傷ついたねぇ。ああ、やっぱりそう思ってたんだ?みたいな(笑)」
ー大晦日あたりの筆者との会話ー
先に書いておく。
筆者の今回のブログの内容に関してはフィクション、ノンフィクションが入り混じっている。
本人にインタビュー等は一切とっていない。
昨今のインターネットや雑誌でのリリースアーティストへのインタビュー記事。
正直辟易とさせられる事が多い。
本当にインタビューとってそれそのまま載せてどうすんだと思っている。
このブログ、この時点で不快になった方はすぐに引き返したり携帯やPCを閉じる事をお薦めする。
さっさと日常に戻って洗い物やお風呂を沸かしに行った方がいい。
2007年10月4週目の土曜日の深夜。
筆者は春日部にいた。
春日部駅東口。
別名遊ぶとこがなんにもない口である。
改札を出て右手に見えるカーネルサンダースを流し目で見ながらデイリーヤマザキ、マツモトキヨシの角を左に入る。
それから200mもいかないぐらいの場所に、ingというbarがある。
そこのビルの2階がbarになっていて、3階に今はもう無くなってしまったがDJブースが置かれお世辞にも広いとは言えないがダンスフロアがあった。
んー。長くなりそうだ。
とにかくKSKB NIGHTというイベント。
そこで彼と初めて出会った。
この出会いに関しては以前の記事に書いているが。
筆者がそのingのビルの階段でミスターことripperくんと話していた。
ちなみにripperくんをミスターと呼んでいるのはこの世で筆者とDJ YABOだけである。
話題はUMBの予選の動画サイトの話だった。
筆者はその年千葉大会でその動画サイトに載っていたので月額登録した。
その千葉の準決勝で筆者とミスターは延長に及ぶ死闘、いや泥仕合をしていてそれが配信されていたので筆者はそのサイトをミスターに教えていた。
「知ってますか?ハイプアップサウンド。これでこの前の千葉大会が見れるんですよ!」
「へぇ、そんなのがあるんですね!凄いですねぇ。」
「そうなんですよ!何か恥ずかしいけどちょっと嬉しくて登録しちゃいましたよー!」
「僕も登録してみ……」
「んー、やっぱりそういう自分の雄姿ってのは残しておきたいものですよねぇ。。。」
!!???!!?
誰??
筆者は困惑した。
筆者のいた階段の二段上から見下ろすように両腕を組んだガタイのいい男がミスターの言葉を遮るようにそう言ってきたのだ。
「やっぱそうですよね。。へっ、へへっ。。。」
人見知りの筆者はこう返すのが精一杯でこの夜も筆者と彼との会話はこれだけだった。
その後ライブショーケースの時間。
群馬からのゲストライブと紹介されたその男。
さっきの階段の二段上からの男だった。
彼がゲストライブだったんだ。
そして、筆者は彼の口から矢継ぎ早に繰り出される言葉の数々と天性とも言えるリズム感に翻弄されていた。
NAIKA MC。
その後再会を果たしたのは確かUMB2009のリベンジ大会だった。
異様な空気が漂っていたあのリベンジ。
緊張とお祭りノリが混ざった何とも不思議な感覚。
打ち合わせ後自然と渋谷の路上にその日エントリーしていた北関東MC連が集まっていたのを記憶している。
ドタマ、TK、ガッティ、筆者、そしてNAIKA MC。
NAIKA MCに対しては寡黙なイメージを抱いていたのだが、その時も新潟のライブに急いで出掛けたら靴が両足違うのを履いていってしまった事を軽快に話していた。
なんかこの人今日いい線いきそうだなーと思いながら聞いていたのを思い出す。
でも一回戦でケムケム兄やんに豪快な力技で一回戦の2、3試合目で颯爽と負けていた。
完全にリンクしたのはその夜だった。
謎な北関東MC連の結束。そこからだった。
長くなりそうだ。先にいく。
そんな彼が長年のキャリアを経て本当に皆に待ち望まれたソロアルバムが発売された。
「THE TALK MAN SHOW」
彼のひととなりを知っていたり、ライブを観た事があれば納得のタイトルだ。
筆者は正直音楽に関しては素人なのでアルバムに関してあれこれ言える立場ではない。
偉そうに語れる立場ではないのだ。
だが筆者なりにこのアルバムを聴いて感じて受け止めた事を本当に本当におこがましいが書いていきたい。
偉そうに語れる立場ではない。
イントロはなんかいい感じのビートに過去のライブでのフリースタイルを乗せてる。
まあ自分のアルバムとかでフリースタイルを収録するって中々自信と根性ないとできないよな。
大したもんだと思う。
そこから前半は、ライブでもよくやるし更にはライブでの受けもいい、というよりはライブ自体を引き締める曲達が並ぶ。
REPRESENT feat TKda黒ぶち
に関しては先日地元の友人とこのアルバムを聴いていたらこの曲の時に友人が
「TKくんは入ってるんだ?で、スークンは入ってないんだ?」
と言われた。
何も言えなくなった自分が悔しい。
でっ、でもキャッスル特典で参加してるし!
へっ、へへっ。。。
で中盤までで彼のラップの特徴がよくわかる。
ライムするタイミングである。
小節のケツでカチッとライムすることをあえて嫌ってる感じがするよね。
タイミングをずらしてくる。
じらしだね。
もし彼が風俗嬢だったとしても大成するだろうね。
筆者なんかは小節のケツでオーソドックスにライムすることを好むからやはりセックスも淡白な感は否めない。
すぐる的にはbuck it upとラフでタフの二曲が前半で光っている印象。
アルバム中盤から客演を交えての曲がズラッと並ぶ。
そして、何処かでのフリースタイルセッションとは呼べないオープンマイクの様子が収録されている。のが8曲目くらい?
若かりしESTが若かりしナイカ氏にバトルを仕掛けていて若かりしナイカ氏がそのバトルを受けずに適当に笑いを取ってごまかしてる。
ここから次の曲「悪友 feat EST」に入る。
この曲メチャメチャ好き。
ELLさんのトラックもいいし、ESTのバースもビチビチにカッコいい。
NAIKA MCとESTの噛み合い方がいい。
そしてアルバム後半、締めに向かう所で待ち構えてる曲が
「NIGHT BEE feat 我次郎MIC」
アルバムを一回し聴き終わった後にすぐにリピートして聴いてみたのがさっきの悪友と、このNIGHT BEEだった。
すぐる的に相当光ってる曲だと思う。
しかも気になったのがこのNIGHT BEE、まあ夜の風俗店での二人の一喜一憂を描いたヒューマンコメディシットなのだが、この曲が終わるとアルバムがしんみりとした「さよなら」や「since1983」、PVにも上がっている「雨と風」に繋がっていく。
この境目に筆者はかなり引っ掛かった。
デリヘルの事を散々歌ってからのアイルトンセナのヘアピンカーブ並のハンドルの切り方である。
最初聴かせて貰って聴き終わった後は
「なんであの曲を境目に持ってきたんだろう。。」
という感情が筆者の頭の中で渦巻きすぐにお風呂に入った。
後半のsince1983、雨と風、両方とも好き。
「世田谷であった痛い目」ってリリックの真相を今度聞いてみよう。
うおーー!!凛としてるーー!!シャンッとたってるーー!!
よく作る曲さえカッコよければ人間性はどうでもいいなんて声も聞いた事あるけど、俺は違うと思ってる。
ヒップホップなら尚更。
人間性も込み、というか自然とヒップホップには人間性が曲に現れるはずである。
MCなら特に。
どんなにハスリンしてる曲作っても、どんなに煙たいリリック歌ってても、ちょっとしか知らない地元の闇の部分をGHETTOとして歌ってみても、それが日常から染み付いてないリリックはすぐにわかる。
無理してるのが2バース目にはもう出てる。
根っからアウトローの人がアウトローな曲を作るからカッコいい。
根っからのバイナルディガーがアナログ讃美歌を歌うからカッコいい。
根っからの貧乏が、這い上がろうとする曲を歌うからカッコいい。
誰かに憧れてそのラッパーのリリックに寄せたラップしてるからダサい。
一回二回のディールでハスラー面したリリックを書くからダサい。
すなわち、NAIKA MCはカッコいい。
アルバムでも
NAIKA MCとしてのラッパーの視点。
労働者としての視点。
風俗に出来れば頻繁に行きたい男の視点。
色んな別れを越えても、常に前を向こうとする人間の視点。
すぐるは彼のひととなりをある程度理解しているからこそ分かる、このアルバムは嘘偽りのない彼の言葉が最初から最後まで並んでいる。
誤解を承知で言わせてもらうが、俺にとっての群馬のフッドスターはNAIKA MCしかいない。
色んなカッコいいプレイヤーがいるのは勿論知ってるけど俺には群馬ならNAIKA MCである。
彼がいなければ今群馬の人達との繋がりは絶対に無かった。
群馬のヒップホップで最初に知ったのはNAIKA MCだった。
今度は彼にインタビュー取ってきます。
今回はこれで。
「THE TALK MAN SHOW」
お薦めのアルバムです。
by kuchibuil4951 | 2013-05-07 18:48